西洋史

第二次世界大戦とノルウェー 鉄鉱石と海産物が注目される

 ノルウェーは第一次世界大戦では中立の立場を取っていたものの、実際にはかなり連合国寄りの姿勢だった。ノルウェーは経済的にも精神的にもイギリスに依存していて、石油を輸入していた。ドイツへの水産物輸出を停止したため、報復として攻撃を受けることもあった。イギリスはノルウェーのことを「中立同盟国」と呼んでいた。

英仏連合軍の北欧派兵

 第二次世界大戦でもノルウェーは中立を宣言したが、フランスが北欧での軍事行動を表明した。これはフランスに対するドイツからの圧力を和らげたいという思惑があった。イギリスは当初この行動に乗り気ではなかったが、ドイツがノルウェーの鉄鉱石を輸入し、中立を利用して海軍を運用していたことから、同調することにした。

 こうして英仏連合軍は、ソ連から攻撃を受けているフィンランドを救援するという名目でノルウェーに上陸したものの、まもなくフィンランドとソ連が和平を結んだため撤退した。

ドイツのノルウェー侵攻

 この様子を見ていたドイツは、放っておくとノルウェーは連合軍の手に落ちると考え、占領することにした。ドイツから攻撃を受けることになったノルウェーは、連合軍の支援を頼りに抗戦することに決めた。イギリスとフランスは再びノルウェーに軍を送り、北部は連合軍が、南部はドイツ軍が優勢という状態になった。

 しかしドイツ軍がフランスに侵攻を開始すると、連合軍はノルウェーから軍を引き揚げてしまった。ノルウェーは降伏し、政府と国王はイギリスへ亡命した。ドイツはノルウェーを戦争の勝敗につながる重要な「死活地域」と見なし、4万人の兵力を置いた。ノルウェーは鉄鉱石と海産物が豊富であり、ドイツにとって貴重な資源の供給地点だった。

占領下のノルウェー

 ヒトラーは北方人種を優れた民族と見なしていたため、ノルウェーに対する統治は比較的緩やかだった。政党は元々国民から人気のなかった国家統一党のみが存続し、ドイツに協力して政治を担うことになった。一方で亡命政府はBBCラジオで徹底抗戦を呼びかけていて、市民はボイコットやストライキでファシスト体制に抵抗した。

 終戦時もノルウェーの大部分はドイツ軍の支配下にあった。やがてドイツ軍は降伏し、本国へと引き揚げていった。国民統一党の党首クビスリングは、戦犯として処刑された。

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