第二次世界大戦を代表する戦闘機として、日本の零式艦上戦闘機(ゼロ戦)、ドイツのメッサーシュミットBf109、イギリスのスピットファイアがある。いずれも「名機」と呼ばれ、主力戦闘機として活躍した。
航続距離
戦闘機 | 航続距離 |
---|---|
零式艦上戦闘機 | 1,880km |
メッサーシュミットBf109 | 680km |
スピットファイア | 750km |
3つの戦闘機のうち、最も大きな差があるのが航続距離。メッサーシュミットBf109は680km、スピットファイアは750km程度であるのに対して、日本の零戦は1,880kmもある。これは当時のヨーロッパでは航続距離は700kmもあれば十分と考えられていたこと、日本は海軍での運用を前提としていたことに違いがある。
メッサーシュミットは航続距離に不安があり、イギリス上空が戦場となったバトル・オブ・ブリテンでは往復距離を考えると15分程度しか戦うことができなかったとされる。スピットファイアもヨーロッパ大陸への空襲が増えると、活躍の機会が減った。
一方で零戦は航続距離の長さを活かして、ラバウル基地からガダルカナル島への出撃を繰り返した。ラバウルとガダルカナル島は直線距離1,000kmもあるが、燃料タンクを装備することで運用可能だった。ただし機体は大丈夫であっても、搭乗員は疲労困憊だったという。ちなみに東京と鹿児島の距離が約1,000kmである。
最高速度
戦闘機 | 最高速度 |
---|---|
零式艦上戦闘機 | 530km/h |
メッサーシュミットBf109 | 570km/h |
スピットファイア | 580km/h |
最高速度はメッサーシュミットとスピットファイアが優れ、比較すると零戦はやや遅かった。戦闘機の強さは最高速度で決まると言われることもあり、だとすればメッサーシュミットやスピットファイアが零戦よりも優れていたといえよう。なお、メッサーシュミットとスピットファイアは競うように改良が続けられたため、最高速度はどんどん上昇していて、スピットファイアは最終的に720km/hになった。アメリカ軍のP-40戦闘機も最高速度は560km/hだから、最高速度では零戦は他国よりも劣っている。ただし、零戦は加速力が高かったという。
旋回性能
旋回性能は残念ながら数値で比べられないが、零戦が最も優れていたとされる。スピットファイアも旋回性能に優れていて、メッサーシュミットは速度重視の設計だったから、格闘戦ではスピットファイアに分があった。一般に日本軍とイギリス軍は格闘戦を中心に、ドイツ軍とアメリカ軍は一撃離脱戦法を中心に戦っていたとされる。
零戦とスピットファイアは南太平洋で実際に戦ったことがあり、結果は零戦の圧勝に終わっている。この事実をもって零戦が最も優れていると言われることもあるが、零戦の搭乗員が熟練だったのに対してスピットファイアの搭乗員は練度が低かったと言われているので、どちらが優れていたかは何とも言えない。
生産数
戦闘機 | 生産数 | 国 |
---|---|---|
零式艦上戦闘機 | 11,000機 | 日本 |
一式戦闘機(隼) | 6,000機 | 日本 |
メッサーシュミットBf109 | 31,000機 | ドイツ |
フォッケウルフFw190 | 22,000機 | ドイツ |
スピットファイア | 23,000機 | イギリス |
ハリケーン | 13,000機 | イギリス |
性能面よりも問題なのは、生産数にかなりの差があったこと。各国の主力戦闘機2種類の生産数を表にすると、日本軍の数の少なさが目立つ。日本は零戦、ドイツはメッサーシュミット、イギリスはスピットファイアを改良し続け、生産し続けた結果、このような差になった。